時計を直しに行った。
街の商店街に或る、小さな時計店に。
そのお店は、中年のご夫婦が店を営んでおられた。
商売っけも無い小さなお店。
共に働くご夫婦。
何となく物語を感じた。
小さな時計店を営んでいるご両親を見て育った子は、時計に囲まれて成長していった。
時計を身につける人々の数だけそれぞれの時間がある事を感じた青年は、その小さな店を継ぎたいと思う。
或る時、自分の前に表れた女の子に自分の夢を語る。
情熱的に夢を語る青年に、その女の子は恋に落ちた。
プロポーズの言葉は
「僕と一緒に、時計屋をやって下さい!」
それからと云うもの、四六時中共に時計に囲まれた時間を凄し、
情熱的では無いものの、居るのが自然な空気の様な存在になっていく。
日々二人とも歳を取り、同じだけ思い出を重ねる。
そんな妄想を掻き立てられながら、勝手に幸せを感じ修理を待った。
私もお店を営んでいる。
同様に夫婦で店を切り盛りしている。
立派な中年の年を迎えようとしている今、
そんな幸福感を感じてもらえるよう、今日も二人でこの時間を過ごしている。

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